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交響曲第5番 (シベリウス) - Wikipedia

交響曲第5番 (シベリウス)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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シベリウス交響曲第5番 変ホ長調 作品82は、1915年に完成した交響曲

目次

[編集] 作曲の経緯

この交響曲は1914年の秋には計画されていた。翌年の1915年はシベリウスの生誕50年にあたり、記念行事の中心に祝賀演奏会が行われることになり、その演奏会で初演される交響曲として作曲されたのである。同じ頃に交響曲第6番第7番の楽想も着想されたが、記念演奏会という目的が定められたこの作品が優先して作曲された。この交響曲を作曲中の1915年4月、散歩の途中で近づいてくる春の気配にこの交響曲のインスピレーションを得たことを書き記している。

この作品の作曲中に第一次世界大戦が勃発し、国全体が経済的に困窮した。シベリウス自身も生活のため出版者の要求に応えて歌曲やピアノ曲を作曲せざるをえず、交響曲の作曲ははかどらなくなった。彼自身「ともかく現実的な仕事が先だ」と書いている。こうした停滞はあったものの、予定されていた1915年12月8日のコンサートには間に合わせることができた。初演はシベリウス自身の指揮により行われ、大成功を収めた。

しかし作曲者は満足しておらず、翌1916年の秋に改訂を行い、初版初演の1年後の誕生日である12月8日トゥルクにおいて自らの指揮で改訂稿の初演を行った。さらなる改訂を1917年に着手するが、フィンランド独立宣言前後の政情不安を避け避難するなどして、改訂の筆は進まなかった。第2改訂稿が完成したのは1919年秋になってからで、この年の11月24日ヘルシンキで作曲者自身により演奏された。結局、この稿が決定稿となり、この作品は最終稿に基づき演奏されるのが通例である。

[編集] 作品の概要

[編集] 出版

1921年コペンハーゲン、ハンセン社

[編集] 楽器編成

フルート2、オーボエ2、クラリネット2、ファゴット2、ホルン4、トランペット3、トロンボーン3、ティンパニ弦楽五部

[編集] 作品の内容

交響曲第4番の息詰まるような緊張感とは対照的に、伸びやかで祝祭的な気分の交響曲である。第4番の作曲前に直面していた癌による死の恐怖から解放された喜びを反映しており、生誕50年を自らも心から祝うことができる心理状態になっていたことを物語っている。

第1楽章は、前半のソナタ形式で構成される『テンポ・モルト・モデラート』とスケルツォ風の『アレグロ・モデラート』が融合したものである。初稿の段階では2つの楽章であったものを、第1次改訂の段階で融合させた。これは、スケルツォとフィナーレを融合した交響曲第3番に対応するもので、最終的に全楽章を有機的に統合する交響曲第7番の先駆けとなる作品である。

第1楽章 テンポ・モルト・モデラート / アレグロ・モデラート
ソナタ形式の前半とスケルツォの後半からなる。冒頭、北欧の大きな自然を暗示させる伸びやかなホルンの問いかけに、小動物が応えるかのように木管楽器が応えて第1主題群を形成する。第2主題は「ややフルート風に」と指定された弦のトレモロに乗って木管楽器群で提示される。第2主題が遮られ、高揚して小結尾となった後、提示部は変奏的に反復される。展開部を経た後、曲は一旦ラルガメンテにテンポを落とし、幻想曲風になった後、高揚して再現部となり、第1主題と続くスケルツォ主題の変形を取り込みながら巧みにアレグロ・モデラートへ入る。スケルツォ主題は木管により演奏される牧歌風のもの、中間主題(事実上のトリオ)はトランペットにより提示される。曲は終結部に向かって徐々に高揚しクライマックスでプレストのトランペットによる終結主題で晴れやかな頂点を飾り、終止する。
第2楽章 アンダンテ・モッソ、クワジ・アレグレット
変奏曲の形式による緩徐楽章。主題はヴィオラとチェロのピツィカートにより提示される純朴な歌である。この主題が様々な楽器に引き継がれながら6回変奏されて行く。
第3楽章 アレグロ・モルト
A-B-A-B-コーダの構成を持つフィナーレ。弦のトレモロがやがて疾走するような第1主題を低弦部で形成する。やがてホルンが二分音符からなる鐘の響きのようなモチーフでこれに応える。このモチーフは低弦による拡大形と組み合わされる。いかにも田園的な第2主題はフルート、オーボエとチェロによって歌われる。ホルンにより提示されたモチーフがトランペットで朗々と奏でられた後、休符の目立つ和音の連打によって全曲の幕を閉じる。この終結の仕方はベートーヴェンに影響を受けたものと考えられる。

[編集] 参考図書

  • 作曲家別名曲解説ライブラリー18「北欧の巨匠」(1994年 音楽之友社)ISBN 4276010586
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