交響曲第4番 (メンデルスゾーン)
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交響曲第4番イ長調「イタリア」(こうきょうこくだい4ばんイちょうちょう「イタリア」)はフェリックス・メンデルスゾーンが1831年から1833年にかけて作曲した交響曲。作品番号90。
メンデルスゾーンの交響曲は全部で17曲におよぶが、はじめの12曲は弦楽合奏用の習作的なものであり、終わりの5曲が番号付き交響曲として数えられる。「第4番」は出版順であり、「イタリア」は5曲のなかでは第1番、第5番「宗教改革」に次いで実質3番目に完成された。「イタリア」の後の作曲順は、第2番「賛歌」、第3番「スコットランド」となる。
イタリア旅行中に書き始められたこの曲は、躍動的なリズム、叙情と熱狂、長調と短調の交錯による明暗の表出が特徴的で、メンデルスゾーンの交響曲のなかでももっとも親しまれている。最終楽章にイタリア舞曲のサルタレロが取り入れられているが、これ以外には具体的にイタリアの音楽を素材としてはおらず、標題音楽的な要素も認められない。演奏時間約24分。
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目次 |
[編集] 作曲の経緯
1830年秋から翌1831年にかけて、メンデルスゾーンはイタリアに旅行し、ローマでは謝肉祭や教皇グレゴリウス16世の就任式などを目にしている。その間にこの曲の作曲に取りかかった。曲は旅行中には仕上がらなかったが、1832年、ロンドンのフィルハーモニー協会から交響曲、演奏会用序曲、声楽曲各1曲の作曲依頼を受けたことを契機に1833年3月に完成。このとき、「イタリア」交響曲とともにフィルハーモニー協会に送られた演奏会用序曲は『フィンガルの洞窟』だった。メンデルスゾーン24歳のときである。
[編集] 改訂版
作曲当時、メンデルスゾーンはこの曲に自信を持っていたが、しばらくして不満な点が出てきて、1838年までに改訂を加えた(第2稿)。さらにその後も折に触れて楽譜に手を入れていたと見られ、結局スコアを手放すことなく没した。
遺稿(第3稿)はメンデルスゾーンの死後4年たった1851年にブライトコプフ社から出版されたが、完成されておらず、現在一般的に演奏されているのは第2稿の1838年版である。第1稿はジョン・エリオット・ガーディナー指揮ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の演奏によるCDで聴く事ができる。
[編集] 初演
1833年5月13日、ロンドンにおいてメンデルスゾーン自身の指揮によって初演された。
[編集] 楽器編成
フルート 2、オーボエ 2、クラリネット 2、ファゴット 2、ホルン 2、トランペット 2、ティンパニ、弦五部。
[編集] 楽曲構成
[編集] 第1楽章
Allegro vivace イ長調 6/8拍子 ソナタ形式。
ヴァイオリンの生き生きとした第1主題によって開始される。第2主題は木管に出るやや落ち着いた表情のもの。展開部では新たなリズムが示され、これに第1主題の動機が対位法的に絡む。コーダではヴァイオリンとフルートが新たな旋律を示し、展開部のリズムと第1主題の動機が組み合わされる。楽章全体を通じて沸き立つような躍動感が印象的である。
[編集] 第2楽章
Andante con moto ニ短調 4/4拍子 自由な三部形式。
呼びかけるような音型につづいて、素朴で愁いを帯びた旋律が木管に示される。弦が特徴的なリズムを刻む。中間部はニ長調。
[編集] 第3楽章
Con moto moderato イ長調 3/4拍子 三部形式。
穏やかな曲調でメヌエットに近い。中間部はホルンの信号で始まり、ヴァイオリンとフルートが上行形の律動的な音型を奏する。
[編集] 第4楽章
Saltarello; Presto イ短調 4/4拍子。
サルタレロはローマ付近の民衆に流行した舞曲。途中でなめらかな音型がタランテラのリズムに乗って現れる。曲は終始熱狂的にすすむ。