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交響曲第13番 (ショスタコーヴィチ) - Wikipedia

交響曲第13番 (ショスタコーヴィチ)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

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ドミートリイ・ショスタコーヴィチ交響曲第13番は、『バビ・ヤール』という通称を持つ交響曲である。この作品はエフゲニー・エフトゥシェンコによるバス独唱とバス合唱付きの5つの楽章からなり、第1楽章の「バビ・ヤール」から通称が取られている。

バビ・ヤールとは、当時ソビエト連邦を構成する共和国の一つであったウクライナキエフ地方にある峡谷の地名で、1941年にこの地に侵攻してきたナチス・ドイツによるユダヤ人虐殺が行われた場所である。第1楽章はこの虐殺事件とともに、帝政ロシア末期における極右民族主義団体によるユダヤ人弾圧にも触れ、その後のソ連においてもユダヤ人に対する迫害や反ユダヤ主義が存在することをほのめかし、告発するような内容の歌詞になっている。 また、第2楽章以降も、ソ連における生活の不自由さや偽善性を揶揄、告発しているとも取れるような歌詞が用いられている。 スターリン体制時にはソ連も人種迫害を行っていたが、「ソヴィエト連邦には人種問題は存在しない」というのが建前であった事もあって、初演後に問題となり、フルシチョフの命令でエフトゥシェンコ自身により第1楽章に使われた詩「バビ・ヤール」が改変された。

ショスタコーヴィチに対しても、改変された詩に基づいて音楽を書き換えることが要求されたが、ショスタコーヴィチはこれを拒み、結果的には音楽は改編されず、歌詞の変更も一部が浄書されたスコアの上からの鉛筆書きというかたちで取り入れられるのみとなった。具体的には、ユダヤ人として生きる苦しみをキリストの受難にたとえる部分が、ロシア人やウクライナ人もユダヤ人と共に(ナチによって虐殺され)この地に眠る、という内容に変わり、また後半部分においてはっきりと「虐殺」という言葉を用いて犠牲となった老人や子供に思いを馳せる部分は、「ファシズム(ナチス・ドイツ)の侵攻を阻んだロシアの偉業」を讃える内容にに変更されている。ただし、西側では1970年のユージン・オーマンディによる国外初演から変更前の元の歌詞で演奏されており、ソ連では1985年のゲンナジー・ロジェストヴェンスキーによる録音で元の歌詞が用いられている。これ以降、現在では元の歌詞によって演奏されるのが普通である。また、ユーリ・テミルカーノフは作曲者の存命中に元の歌詞で演奏したことがあると語っている。[1]

目次

[編集] 編成

[編集] 構成

  • 第1楽章 "Babi Yar"(バビ・ヤール) - Adagio

バビ・ヤールでのナチのユダヤ人虐殺や、帝政ロシア時代末期の反ユダヤ団体「ロシア民族同盟」によるユダヤ人排斥運動、アンネ・フランクなどに触れつつ、未だロシアや世界に蔓延る反ユダヤ主義を激しく糾弾する。

  • 第2楽章 "Yumor"(ユーモア) - Allegretto

この世のどんな権力者、支配者もユーモアを手なずけることはできなかった、と歌う。皮肉と毒に満ちた楽章である。

  • 第3楽章 "V Magazine"(商店で) - Adagio

餃子を買いに商店を訪れた詩人は、家庭の生活のために寒さに耐えながら行列に並ぶロシアの女性たちを目にし、様々な苦難に耐えてきた彼女らを「女神たち」と讃え、彼女らにボッタクリを行う商店に対し怒りを爆発させる。

  • 第4楽章 "Strakhi"(恐怖) - Largo

スターリン時代の密告や粛清による恐怖はロシアで「死のうとしている」が、偽善や虚偽がはびこるという新たな恐怖が存在していると歌う。

  • 第5楽章 "Kar`era"(出世) - Allegretto

地動説を主張し続け軟禁されたガリレオ・ガリレイを例に、世俗的出世を捨て、危険を顧みず、人々に呪われてでも信念を貫き、後の世に認められる生き様こそが真の「立身出世」であると歌う。

[編集] 初演

初演は1962年12月18日モスクワ音楽院大ホールにて、コンドラシン指揮モスクワ・フィル,ロシア共和国合唱団&グネーシン音楽大学合唱団,バス独唱ヴィターリ・グロマツキー。翌々日の20日にも再演された。

当初ショスタコーヴィチはエフゲニー・ムラヴィンスキーに指揮を依頼したが、断られたために、キリル・コンドラシンが指揮することになった(このときムラヴィンスキーにソ連当局から圧力があったとも言われる)。

[編集]  演奏時間

約54分。

[編集] 評価

[編集] その他

[編集] 外部リンク


ドミートリイ・ショスタコーヴィチ交響曲
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