ミツロウ
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ミツロウ(蜜蝋、Beeswax)はミツバチの巣を構成する蝋。働きバチの腹部の腹面に対を成して存在する蝋腺から分泌されたもので、主成分はパルミチン酸ミリシル。巣を加熱圧搾したり、湯で煮溶かしたりして採取する。精製・漂白したものは白色~帯黄白色でサラシミツロウという。ろうそく(蜜ろうそく)、つや出し剤、化粧品、漢方薬原料などに利用。今日では蜂蜜の副産物であるが、中世ヨーロッパでは教会の儀式用ろうそくの原材料として大量に消費されたため、むしろ養蜂の主目的はミツロウの生産にあった。蝋燭に使用した場合パラフィンに比べすすが少ない等の長所がある。
また、古代~中世においてロストワックス鋳造法での原型にも使われた。
近年では天然素材が見直される傾向も手伝い、ミツロウ製のクレヨンも試験的に発売された。工業用としてはCDのスタンパの製造にも使用されている。
中国医薬大辞典によれば、「有直接凝固血液之功。且有制腐滅菌之効」とある。ミツロウ、サラシミツロウともに日本薬局方に収録されている医薬品。
洋菓子のカヌレの型に塗る油は蜜蝋が使用される。特に美味ではない。
朝鮮半島では、朝鮮王朝時代を中心に蜜蝋を梳き油や髪油として男女兼用で使っていた。