デ・ジュリ
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デ・ジュリ(De jure、デ・ジュール、デ・ジューレ、古典ラテン語の「de iure」から)とは、「法律上では」を意味するラテン語由来の成句。対義語は「事実上の」を意味する「デ・ファクト」(例:デファクトスタンダード)。
「デ・ジュリ」と「デ・ファクト」は、それぞれ法律上の問題、政治上の問題、技術標準などにおいて「原則では」「実際は」を表現する際に使われる。例えば法律や国際標準化機関が定めた規則や基準はデ・ジュリのものであるのに対し、取引慣習や市場競争で成立して実際に使われている慣習や業界標準はデ・ファクトのものである。デ・ファクトの慣例や基準が広まり、デ・ジュリの規則や基準が空文化すると、やがて実態のほうが追認され、無視されている法律や標準のほうが廃絶されデファクトスタンダードが新たな標準となることもある。
「法律上の」又は「事実上の」という表現はたいていの場合は「デ・ジュリ」又は「デ・ファクト」に置き換え可能である。ただし、「法律上の主張」又は「事実上の主張」というときの「法律上」又は「事実上」は「法律に関する」又は「事実に関する」という意味であり、「デ・ジュリ」又は「デ・ファクト」の意味ではないので注意を要する。