サルバルサン
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サルバルサン (Salvarsan) は歴史的な梅毒治療薬の1つ。"arsphenamine" のドイツのイーゲー社の商標登録名。名称は「救世主」を意味する「Salvator」と、ヒ素を意味する「arsenic」から取られている。
パウル・エールリッヒと秦佐八郎が合成した有機ヒ素化合物で、スピロヘータ感染症の特効薬。毒性を持つヒ素を含む化合物であり副作用が強いため、今日では医療用としては使用されない。
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[編集] 発見の経緯
1910年、エールリッヒと秦佐八郎の二人は共同で、同薬をアニリン系色素から合成し、動物実験により梅毒に有効であることを証明した。これは合成物質による世界最初の化学療法剤で後に鼠咬症、ワイル病、イチゴ腫に対しても有効であることが確認された。
[編集] 性質・製法
[編集] 構造
従来はヒ素-ヒ素の二重結合を含む上図のような2量体構造であると考えられていたが、ヒ素は二重結合を作りにくいことが知られており、この構造式には疑問が持たれていた。近年、右図のようなヒ素3員環や5員環を含む多量体構造が正しいとの説が発表された[1]。生体内では酸化されて分解し、単量体として作用することが知られている。
[編集] 参考文献
- ^ Lloyd, N. C.; Morgan, H. W.; Nicholson, B. K.; Ronimus, R. S. (2005). "The Composition of Ehrlich's Salvarsan: Resolution of a Century-Old Debate". Angew. Chem., Int. Ed. 44: 941–944. DOI: 10.1002/anie.200461471