エンドアの戦い
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エンドアの戦い(the Battle of Endor)とは、『スター・ウォーズ』シリーズのエピソード6『ジェダイの復讐(帰還)』で描かれた、反乱同盟軍と帝国軍による架空上の戦いである。ヤヴィンの戦いの4年後に行われた。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
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[編集] 背景
この戦闘は、ガス状巨星エンドアの衛星エンドア軌道上に建造中の第二デス・スターに視察に訪れる、銀河皇帝パルパティーン(シスの暗黒卿ダース・シディアス)を急襲、これを撃破する事で帝国軍の弱体化を狙った反乱同盟軍の作戦であった。
しかしそれこそが、パルパティーン皇帝の目論見による策略で、ヤヴィンの戦い以降において次第に無視できない勢力となり、銀河帝国の体制に対して方々で大規模な攻撃を行っていた反乱同盟軍を結集させ、まとめて帝国軍の最大戦力で壊滅させる計画だったのである。
この戦闘に際して帝国軍は、故意に第二デス・スターは未完成で防衛力こそ強固だが、極大の破壊力を誇るデス・スターの巨大ビーム砲は未完成であり、また駐留部隊も比較的小規模であるとする偽りの情報を流出させた。しかし実際には、エンドア後方に大量の増援部隊を隠していたほか、第二デス・スターは外見こそ建造中ではあったものの、主要な兵器はほぼ完成していたのである。
[編集] 概要
帝国軍は、最初のデス・スターを失い手痛い敗北を被ったヤヴィンの戦いを教訓に、改良した第2デス・スターを建造中であった。ルーク・スカイウォーカーがコスリスの戦いで設計図を奪い取ることに成功し、再び弱点をつかんだ反乱同盟軍は全面攻撃を仕掛けることとなった。
この作戦は、正面から第二デス・スターを攻める宇宙艦隊と、エンドア上に設置されたシールド発生基地を制圧してデス・スターの防衛力を奪う少数精鋭の地上部隊による隠密行動という2段構成であった。
ハン・ソロ率いるエンドア地上部隊がシールド発生装置の破壊に向ったが帝国の精鋭部隊が待ち伏せしていたため少数のハンの部隊は侵入直後に難なく撃退された。この中でルーク・スカイウォーカーは、かつて父アナキン・スカイウォーカーであったダース・ヴェイダーをライトサイドに引き戻すため、単身で帝国軍に囚われる。
ヴェイダーはエンドアのシールド基地で息子であるルークと対面したが、その心は帝国に尽くすことに囚われており、息子も帝国軍に引き入れるため、銀河皇帝とルークを面会させる。だがルークは、皇帝の口から自分達がまんまと罠にはめられたことを聞かされる。
それは帝国側が意図的に設計図を反乱軍に奪わせ、これを餌にして反乱軍を総攻撃を誘わせ、後方から大量の増援部隊で攻め立てると共に、秘密裏に完成していたデス・スターのスーパーレーザーで反乱同盟軍の艦隊を全滅させるというものであった。そして皇帝は、自分を憎ませることでルークをダークサイドに引き入れようとしたのである。ルークは自分の仲間である反乱同盟軍の宇宙艦隊が、圧倒的な帝国軍宇宙艦隊の前に次々と撃墜されていくのを目の当たりにして、意を決して皇帝に打って掛かるがヴェイダーに阻まれ、二人のジェダイによる、ライトサイドとダークサイドの双方に引き裂かれた親子の決闘が始められる。
始めは父との戦いに迷い戸惑っていたルークだったが、フォースによりヴェイダーが自身の娘の存在を知り、「お前がダークサイドに染まらぬのであれば、彼女をダークサイドに引き込もう」の一言で怒りを露にしてヴェイダーに打って掛かった。これこそが皇帝の真の目論みであり、かつて父アナキンをダークサイドに転向させたのと同じように、その父ヴェイダーをルークに討たせることでダークサイドへ導き、従順ではないヴェイダーに代わる弟子にしようとしたのである。
しかし、ここで皇帝の誤算が生じはじめていた。一度は撃退したはずの反乱同盟軍の地上部隊が、エンドアの原住民であるイーウォック族と共同で帝国軍への反撃を開始したのである。帝国軍のシールド発生基地の守備部隊が有するハイテク兵器は、反乱同盟軍が使うレーザーやブラスター兵器に対しては十分な防御力・攻撃力を持っていたが、イーウォック族の使う大質量(丸太)打撃トラップなどといった、原始的な武器や自然を利用した戦術は想定外であったため、もろくも崩れ去ったのである。
この後、ハン率いる地上部隊はバンカー基地を制圧し、シールド発生装置の破壊に成功した。上空でデス・スターと帝国軍宇宙艦隊に挟み撃ちにされ、生き残るために必死の死闘を繰り広げていた反乱同盟軍艦隊もシールドの消失を察知、ランド・カルリシアンの乗るミレニアム・ファルコンを筆頭に、ウェッジ・アンティリーズら高速戦闘機部隊が第2デス・スター内部へと突入を図る。
一方のルークは、激しい打ち合いの中でヴェイダーを追い詰め、片手を切り飛ばし、怒りに任せて自分の父を討つかに見えた。しかし片腕を失い地に膝を突いたヴェイダーを前にルークは心の平静を取り戻し、「自分はジェダイである」と宣言、たとえダークサイドにあろうとも、己の父との戦いを拒絶した。それに失望と怒りを覚えた皇帝は、意に添わぬルークを始末するため、指先から青いフォースの稲妻を発し、ルークを圧倒的な力で打ちのめした。この最中、息子に敗れて静かにその光景を傍観していたヴェイダーだったが、皇帝の雷撃に息も絶え絶えになったルークの「助けて、父さん」の声に応じるかのように、自分が傷つくのも厭わず突然皇帝を抱えあげるとデス・スター内部のシャフトに投げ落とした。
皇帝は、その弟子であるヴェイダーによって討ち倒された。この瞬間、シスの暗黒卿ダース・ヴェイダーはジェダイの騎士アナキン・スカイウォーカーに戻った。しかしライトサイドに帰還し、かつて予見されたようにフォースにバランスをもたらしたジェダイであるアナキン・スカイウォーカーであったが、皇帝の雷撃によって生命維持装置が破壊されており、彼の息子に看取られながら、シールドを失って反乱同盟軍の攻撃により崩壊を始め混乱したデス・スターの連絡船プラットフォームで静かに息を引き取った。
帝国軍最大の戦艦であり旗艦でもあったスーパー・スター・デストロイヤー「エグゼキューター」も反乱同盟軍による攻撃によって制御を失いデス・スターに激突し爆発するなど激しい戦闘が行われていた宇宙空間では、攻撃をかいくぐってデス・スターの中心部に到達したランドとウェッジらの攻撃隊はミサイルを中心部の主反応炉に命中させ反応炉を破壊、そのまま最大加速で崩壊していく宇宙要塞からの脱出に成功する。デス・スターが爆発する寸前、ルークは、最後に皇帝を滅ぼした父の亡骸とともに仲間の元へ向かった。
こうして反乱同盟軍はからくも勝利を収めたのであった。この戦いの後、銀河各地で祝宴が催されその戦勝は後々まで語り継がれる事となったのである。なお、エンドア地上攻撃部隊に関しては「イウォーク#映画スター・ウォーズでの活躍」の項を参照して欲しい。
[編集] その後
この戦いにより帝国そのものが消滅したわけではない。しかし多くの兵力・艦船・デス・スターを失い、さらに皇帝とダース・ヴェイダーの2人の指導者を失ったため、帝国内部ではモフや大将軍たちのグループが互いに主導権を奪い合う内乱状態へと突入することになり、急速に勢力は衰えていくこととなる。
また、新三部作の後に追加されたシーンでは、首都惑星コルサントを含めた主要惑星で皇帝の像が破壊されたりと帝国の支配が及ばなくなったようで、勢力図がほぼ逆転したようである。
一方で反乱同盟軍は新共和国の樹立を目指し、帝国残党の掃討戦を開始することになる。