いっかくじゅう座
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いっかくじゅう座 (Monoceros) | |
略符 | Mon |
属格 | Monocerotis |
英語での意味 | the Unicorn |
赤経 | 7.15 h |
赤緯 | -5.74° |
観測可能地域 | 北緯75° 〜 南緯85° |
21時正中 | 2月20日 |
広さ - 順位 | 482 平方度 - 35位 |
3等以上 / 6等以上の 星の数 | 0 / 101 |
最も明るい星 , 視等級 |
いっかくじゅう座β星 (β Mon), 3.76等(合成等級) |
流星群 |
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隣接する星座 |
いっかくじゅう座(一角獣座)は冬の南天に見える星座。学名はMonoceros。ふつう、バルチウス星座の一つとされている。星々には明るいものがなく、固有名もついていない。
目次 |
[編集] 特徴
いっかくじゅう座は、4等星がいくつかあるだけの、目立たない星座である。しかし、小さな望遠鏡で見えるものの中に、興味深い天体がいくつかある。
α星は、実視等級3.94等のG型巨星(G9III)。3.99等のγ星よりわずかに明るい。距離144光年。
β星は実視等級3.76等(合成等級)で、いっかくじゅう座で最も明るい。三重星で、4.7等, 5.2等, 6.1等の3つの星が三角形を成している。この三重星はウィリアム・ハーシェルによって1781年に発見され、ハーシェルは「全天で最も美しい景観の一つ」とコメントした。距離691光年。
ε星は4.5等と6.5等の星からなる連星である。距離128光年。
S星(15番星)は青みを帯びた白いO型の変光星だが、その変化はあまり大きくない。NGC 2264の中心に位置する。この星は二重星でもあり、8等の伴星がある。
V838星は、2002年に出現した新星 (Nova Monocerotis 2002)。同年1月6日にアウトバーストが始まり、現在もライト・エコーの広がりが観測されている。当初は典型的な新星と考えられていたが、様々な相違点が指摘されている。距離はおよそ2万光年(6キロパーセク)と推定されている。
プラスケット星は分光連星で、最も質量の大きい恒星として知られている。
ルイテン星は、22番目に近い恒星系である。距離12.4光年。
ロス614は、29番目に近い恒星系である。距離13.3光年。近接した連星で、伴星は変光星(V577 Mon)である。
Corot-exo-1は、COROT計画において、トランジット法で最初に系外惑星が発見された。いっかくじゅう座には、他にもHD 52265、HD 46375に系外惑星が発見されている。
[編集] 主な天体
- M50(散開星団)
- NGC 2237-2239、2246 ばら星雲として知られている散光星雲。
- NGC 2244 ばら星雲に囲まれている散開星団。
- NGC 2261 ハッブルの変光星雲(散光星雲)。
- NGC 2264 散光星雲のコーン(円錐)星雲、雪片星雲、狐の毛皮星雲、散開星団のクリスマスツリー星団からなる。
[編集] 歴史
いっかくじゅう座は、普通、ドイツの天文学者ヤコブス・バルチウスによって設定されたといわれている。これによって一般に知られるようになったとされる新しい星座である。(1624年のバルチウスの星図には Unicornu とある)しかし、それより以前にオランダの神学者で地図製作者のペトルス・プランシウス(Petrus Plancius)によって創案されたものである。(1613年のプランシウス製天球儀のゴアには Monoceros Unicornis とある)いっかくじゅう座の設定に当たっては、キリスト教の影響が強いと考えられている。
しかし、天文学者ヴィルヘルム・オルバースと年代学者ルートヴィヒ・イデラー (Ludwig Ideler) は、1564年にこの星座が使われていることと、それよりもっと古くから使われていたと発表した。古典学者のヨセフ・スカリゲル (Joseph Scaliger) は、古代のペルシアの天球儀でこの星座を発見したと発表した。
[編集] 神話
いっかくじゅう座は新しい星座なので、神話はついていない。ユニコーン(一角獣)は架空の動物である。この動物は馬に似ていて、額の上には1個だけの角を持つ。この角は解毒作用があると考えられている。この動物は、純潔と清浄を表すと考えられている。